FIT工学部 研究室最前線 生命環境化学科 呉研究室

生命環境化学科

呉研究室

呉 行正 教授

FIT工学部の取り組み

研究内容

環境試料・生体試料に利用できる新しい分析法の開発。

呉研究室(呉行正 教授)は、「分析化学」、「環境分析」、「生体試料分析」、「ナノ粒子とタンパク質の相互作用」などが研究分野です。たとえば、「光一本で濃度変化や温度変化を、非接触的に、しかもリアルタイムでモニタリングできる偏向計測法」、「微量活性酸素の化学発光測定」、「キャピラリー電気泳動法による微量タンパク質の迅速分析、および生体・環境試料の簡易分析」、そして「金ナノ粒子とタンパク質の相互作用の研究」などを行っています。特徴としては、独自の工夫によって従来の分析法よりも「非接触」で「リアルタイム計測」が可能になり、「前処理と分析の一体化による簡便性・迅速性が向上する」ことなどが挙げられ、環境分析・生体試料分析・ナノ材料の評価などでの応用が期待できます。

spisara

研究室の魅力を語る

生命環境化学科4年

F.Sさん

出身:福岡県立朝倉東高等学校

バイオ分野の魅力的な学習内容に惹かれて入学を決意。

福岡工業大学への入学を決めた理由は、二つあります。まずは「就職率の高さ」です。福工大は、学生の就職活動に関して「面倒見の良さ」が有名な大学だったことから、とても大きな選択要因になりました。それから「交通の便の良さ」も挙げられます。JR福工大前駅は快速電車が停車するため、自宅からの通学時間がかかる私にとってとても助かっています。
生命環境化学科を選んだ理由は、バイオテクノロジー関連の勉強ができるという学科内容が魅力的だったから。私は、元は農学部志望でしたが、「生物」「遺伝子工学」など農学部で取り組みたい学習内容と類似しており、有意義な研究ができそうなことから選択しました。

前田研究室2

水生植物であるアナカリスやカゴンバの葉を採取してシャーレに載せ、レーザーをその植物近傍に通して、物質輸送過程を計測する。

前田研究室3

水生植物近傍にレーザーを通し、物質輸送過程を計測するレーザー偏向測定装置。

テーマはビーム偏向法による水生植物の物質輸送の計測。

現在取り組んでいるのは、「ビーム偏向法による水生植物(水草)の物質輸送の計測」です。水生植物は光合成で酸素を吐き出し、呼吸によって酸素を取り入れますが、「昼」「夜」「水質」などの環境によって影響を受けます。この研究では、その水生植物の活動がどの環境下で活性化するか、またその活動における物質収支(酸素等の出し入れ差)はどのくらいかを調べるため、「アナカリス」や「カゴンバ」などの複数の水草サンプルを用いて、リアルタイムで計測しています。計測は、水面と水草の間にHe-Neレーザーを当てるという方法です。レーザーは、物質(酸素等)の出入りの状況で曲がったりします。このため照射したレーザー強度を確認しながら、曲がり具合(偏向信号)による物質の出入りを解析しています。

前田研究室2

キャピラリー電気泳動分析の実験。少量の試料を注入したキャピラリーに高電圧をかけて、金ナノ粒子の計測の実証実験を行う。

前田研究室3

水生植物で銅イオンをどこまで減らせるかの実験。銅イオン水溶液に水草を入れて一定時間後、分光光度計で銅イオン濃度の減少のデータを取得する。

実験データのグラフ化までのドキドキ感がたまらない。

呉先生の担当する、分析化学や環境分析化学といった講義を受けたことが研究室を選択したきっかけです。今まで化学や物理学の勉強をしてきましたが、化学や物理の現象を「測定する機器の勉強」がとても新鮮で魅力的でした。
研究結果は、実験データをグラフ化するまで分かりません。ですから、グラフにするまではいつもドキドキ感でいっぱいです。Excelで表したグラフを見て予想通りの結果だったとき、また予想外であっても考察をしっかりと行って原因を解明できたときはとても嬉しくやりがいを感じます。
私はこの研究によって、多量のデータを分かりやすくまとめる整理整頓のクセが付きました。さらに、データ集計にはExcelをよく用いることから、以前よりもExcelの操作がスムーズにできるようにもなりました。研究に取り組みながら、就活などの計画を組み立てるためにスケジュール帳で行動を管理するようになったことも大きな成長だと思います。

前田研究室2

食品農医薬品研究センターで、アミノ酸前駆体に熱を与え高分子化させる実験に当たる研究室の大学院生。

前田研究室3

アミノ酸前駆体に加熱して高分子化させる実験に用いるために、試薬の量を電子天秤で正確に計る。

福工大は夢を追い続ける学生の背中を押してくれる大学。

研究に関するデータ量が足りないので今後は測定回数を増やし、そのデータの比較検討を行っていく計画です。生じた問題は段階ごとに、丁寧に解決をしていきたいと思っています。大学での成果の一つとしては専門知識修得のほかに、アルバイトや学外活動を通じて人間関係や作業の効率を考えるようになったことが挙げられます。社会性の面でも大いに成長できたと思うので、社会人になったら自分に自信を持ち、どんな困難にもぶつかっていきたいです。
福工大工学部は研究施設も充実しており、就職、勉学においても幅広い選択ができます。もちろん過ごしやすさも抜群です。また、学部学科を飛び越え、いろいろな経験をすることができます。私はなんとなく参加した大学の行事がきっかけとなり、希望していた公務員職の内定をもらうことができました。皆さんも良いと思ったことや、興味が湧くものには積極的に挑戦してみてください。福工大は学生の夢を膨らませ、また夢を追い続ける学生の背中を押してくれる大学です。

前田研究室6

魚の血液を溶かした液体に、過酸化水素水とルミノールを混ぜた溶液を入れると、血液に反応して液体が青白く光る。