卒業生の今 品質試験を通じて高品質で安全な製品の提供をサポートしています。

生命環境化学科

別府 優

出身高校/福岡県立八幡南高等学校
工学部生命環境化学科/2022年卒業
勤務先/KMバイオロジクス株式会社(菊池研究所 菊池品質管理部 検査第二課所属)

4つの事業を行う国内唯一の医薬品メーカーで品質試験を担当。

私が入社したKMバイオロジクス(株)は、事業をバイオテクノロジー領域に特化した企業です。現在、私は菊池研究所に勤務しており、主に次の3業務に従事しています。

① 医薬品の製造に用いる水や開発品の品質試験
② 品質試験を行う検体の受付や試験委託先への検体送付
③ 医薬品の製造環境(清浄度)が適切であることの確認(環境モニタリング)

私がKMバイオロジクスを志望したのは、「ヒト用ワクチン」、「動物用ワクチン」、「血漿分画製剤」、「新生児マススクリーニング検査」の4事業を行う国内唯一の医薬品メーカーであり、「人々や動物の健康に貢献していること」、また、シングルサプライ製品(国内でKMバイオロジクスのみが製造している製品)の供給やオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の開発・供給により、「希少疾病を持つ患者さんや薬・治療を必要とする方々の健やかな日々をサポートしていること」に魅力を感じたからです。
このほか、私が採用された技術系技能職が「特定の分野のエキスパート」を目指していくコースということも要因です。就職活動をしていた当時から、将来は一つの道を究めていきたいという思いがありました。特定分野の業務に従事していくなかで専門的な知識や技術を吸収・蓄積し、安心安全な製品を届けるためのプロフェッショナルになることが私の軸に合っていました。また、最終面接時、本社を訪れた際にすれ違った社員の方が「面接頑張ってくださいね!」と声をかけてくださったのですが、その言葉を嬉しく思うと同時に、「このような社員の方がいる会社は、きっと良い会社なのだろうな」と思ったことが入社を志望した決め手の一つになりました。

品質試験や検体管理業務に関する改善活動に感じるやりがい。

業務では、福工大の赤木研究室で培った経験が活きていると思います。偶然にも研究室で実施していた試験法や、扱っていた機器・設備を用いることが多い部署に配属されました。研究時には、機器の測定原理や取り組んでいる実験の目的・原理などを理解できるまで何度も先生が教えてくださったので、実際に品質試験に従事する際の試験理解や機器操作などの面で、学んだことが活かされています。

やりがいは、品質試験や検体管理等の業務に関する改善活動を実施していくことです。医薬品の品質試験は手順書に従って実施し、実施したことを確実に記録に残しながら作業を行う必要があります。しかし、時には人的ミスにより手順を誤ったり記録ミスが発生したりしてしまいます。本来手順書は、「1.人為的な誤りを最小限にすること」、「2.医薬品の汚染および品質低下を防止すること」、「3.高い品質を保証するシステムを設計すること」を目的として定められています。したがって、試験の熟練者でも初心者でも全員が手順書通りに進めることで、確実に試験などの業務が行えなければなりません。そのため先輩や同僚と一緒に、手順書や作業内容の改善活動を継続して取り組んでいます。その結果、人的ミスや無駄な作業が減るなど、改善活動の効果が目に見えた時は嬉しく思います。製造や営業に比べると、品質管理の仕事はお薬を待つ患者さんとの距離があるように思えるかもしれませんが、こうした積み重ねが信頼性の高い品質試験の確実な遂行につながり、ひいては高品質な製品の提供に結び付いていると感じています。

品質試験における信頼性の高い人材になる基盤を築きたい。

私自身、特に大きな夢や目標に向かってきたわけでありませんが、学生時代は授業料免除を目標にして勉強に励み、苦手意識を持っていた分野もクラスメイトに力を借りながらコツコツと理解に努めました。そうすることで、苦手分野も「あれ?おもしろいかも」と思えるようになりました。たとえば化学ですが、福工大工学部ではより専門的に学んでいきます。基本的なことを一つ一つ理解していくことでこれまで学んできた点と点が繋がるような感覚に至り、嬉しくなったことを覚えています。工学部で学ぶ化学・生物学をはじめとした専門分野を学ぶことがおもしろいと思うようになったことで興味が広がり、興味が広がったことで選択肢も増え、私自身がこれからしたいことが何かを見つける糸口になったように思います。取り組んできたことは、自分の武器にもなったように感じます。勉強や部活動、バイト、趣味など、一つでも頑張れたことや誇れることがあれば、夢や目標を見つけてそれを叶える過程で、プラスに働くのではないかと思います。

仕事では今後、日々行う業務や担当試験への理解をより深めていくことを目指します。2025年度で入社4年目に入ります。まだ分からないことばかりで、学ぶべきことが多々あります。任される仕事や責任も増えてきており、思うように進められず焦ることも多くなってきました。しかし、目の前の業務をただこなすのではなく、目的意識を持って一つ一つを理解しながら取り組むことを今後も大切にしていきたいです。また、職場にはお手本としたい先輩方がたくさんいらっしゃるので、ロールモデルとして多くのことを学び、信頼性の高い人材になるための強固な土台を築いていきたいと思っています。

後輩へのメッセージ

福工大の4年間で、学ぶ楽しさを知ることができました。部活動や研究活動、ゼミメンバーと過ごした時間も大切な思い出で、良い大学生活を過ごせたと思います。大学で学ぶたくさんの専門分野も、先生やクラスメイトのおかげで理解を深めながら学ぶことができました。福工大へ入学する方々には、たくさんのことを経験し、楽しんで、卒業時に実りのある日々だったと思えるような時間を過ごしてほしいと思います。