FIT工学部 研究室最前線 知能機械工学科 江頭研究室

知能機械工学科

江頭研究室

江頭 竜 准教授

FIT工学部の取り組み

研究内容

マイクロバブル発生の制御と有機物分解・生物成長促進への応用。

江頭研究室(江頭竜 准教授)は、近年、通常の気泡よりもサイズの小さな「ミクロンオーダーの莫大な数の気泡」である「マイクロバブル」が幅広い分野で利用され、成果をあげています。マイクロバブルの歴史はまだ浅く、実際に何かの応用技術として用いられ注目されるようになったのは20年前ほどのことです。新しい技術のマイクロバブルは、発生装置も比較的簡単でクリーンな技術であり、今後も応用分野が広がる可能性を秘めています。この研究室ではマイクロバブルの気泡径、気泡数を制御する手法を検討し、マイクロバブルに関する知見を獲得するとともに有機物の分解や農産物育成促進、あるいは湖沼の浄化などへの応用を図っていきます。

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研究室の魅力を語る

工学研究科知能機械工学専攻

修士課程1年

(工学部 知能機械工学科 卒業)

M.Sさん

出身:福岡県立三池高等学校

工学研究科知能機械工学専攻

修士課程1年

(工学部 知能機械工学科 卒業)

Y.Sさん

出身:福岡県立小倉南高等学校

キャンパスの雰囲気、学習環境、高い就職率に惹かれて入学。

松尾さん

私が福工大へ入学したのは、小さい頃から機械やモノづくりに関心があったことが影響しています。特にエンジンなどに興味を持っていました。それに日本の技術力は世界でもレベルが高いというニュースをよく耳にしていたので、私もそんな日本を支える技術者になりたいと思い、モノづくりの広い知識を学ぶため知能機械工学科に入ることにしました。実習の充実度も魅力だったし、設計分野をきちんと教えてもらえることが入学を決めた大きな要因です。

山本さん

私も同じですね。やっぱり小さい頃からモノづくりに興味がありました。ですから、設計を基礎からじっくり学ぶことができ、さらにモノづくりの実習を通して加工・製造の経験をしっかり積める知能機械工学科に魅力を感じたんです。入学後のモノづくり実習は、やはり印象深いですね。自ら図面を引き、なおかつ強度計算など1年かけて行ったうえで製品=スクリュージャッキを設計する「知能機械設計Ⅱ」という授業があり、とても学びがいを感じたことを覚えています。

前田研究室2

▲自作のマイクロバブル発生システムに、製作したノズルを取付け中の山本君。間もなく水槽に水を入れて実験を開始予定。

前田研究室3

▲超音波発生装置と測定器を用いて研究する松尾君。有機物の入った水にマイクロバブルを発生させて超音波を当て、有機物分解の測定に取り組む。

江頭准教授と新しい技術のマイクロバブルに惹かれて研究室を選択。

松尾さん

この研究室は流体力学をベースにしており、私たちはマイクロバブルを用いた研究に取り組んでいます。私は現在メチレンブルーという色素を用い、マイクロバブルと超音波を併用したかたちで「有機物分解」の研究を行っています。たとえば工場廃棄物などには多量の有機物が含まれますが、今までのオゾン処理方法に替えてマイクロバブルを応用しようというわけです。また修士研究のテーマとは異なりますが、マイクロバブルを混入した水をメロンやトマト、キュウリなどの農作物に与えて生育を促進させる栽培実験も行っています。

山本さん

私は、マイクロバブルを発生させるノズルを開発しています。マイクロバブルの生成法はいろいろありますが、私はノズルに着目して研究テーマに設定しました。マイクロバブルはノズルの形状などの様々な条件で、バブルのサイズや発生量などが変わってきます。自分でノズルを実際に製作し、ノズルの形状がマイクロバブルに及ぼす影響を調べました。マイクロバブルの生成に関する最適な形状を突きとめれば、その先には実用化・製品化が見えてきます。

松尾さん

この研究室を選択した一番の理由は、江頭先生の気さくなお人柄に惹かれたからで、学生にはいつも対等な立場で接してくださることにとても感激しました。もちろん授業の際に先生からマイクロバブルの話をお聞きしたことも選択理由の一つです。マイクロバブルという分かりやすい研究内容ながら奥が深く、しかも新しい技術分野ということで探究心をとても刺激されました。

山本さん

私も同じですね。やはり江頭先生の存在が大きいです。やさしい対応、丁寧な教育姿勢、そして研究者としての情熱に感銘を受けことが理由です。また、流体力学の講義を受けているうちに物体のまわりの流れや管内流などに興味を持ち、流体に関するテーマを研究したいと思ったことが研究室の選択につながりました。
先生は本当に気さくで、研究室メンバーの進路や就職活動の相談にも親身に対応してくださいます。研究室の雰囲気は、みんな真面目に研究に取り組んでいるので比較的静かですが、昼休みや休日にはメンバーで楽しく交流すること少なくありません。先日はフットサル大会にもメンバーで出場しました。

松尾さん

柔和で誠実な江頭先生に影響されるように研究室の学生もみんな仲が良く、やるときは主体性を持って一生懸命研究に取り組む…ここはそんな研究室です。

前田研究室2

▲マイクロバブル発生システムのCAD設計画像。山本君製作のノズルを取り付けた装置を学内のおとめが池に沈め、水質変化を調べる予定。

前田研究室3

▲山本君が製作したマイクルバブル発生ノズル(複数のノズル版)。自分でCADを用いて設計し、加工した。

学生が主体的に研究を進めることで身につく思考力と行動力。

山本さん

私は、研究自体にやりがいを感じています。ラットの飼育を通じて、どのような改善効果があるかを実験等で確かめられることは大きな喜びですね。今はデータの取得に取り組んでいますが、結果が今から楽しみです。それから、実験にはマイクロ単位の溶液を用いるため細かい作業がかなりあります。ミスをせずに作業を終え、実験も満足の得られる結果が出たときには嬉しさもひとしおです。

松尾さん

私は、実験でコツコツと得たデータから「なぜこうなるか」ということを多面的に考える部分、考察すること自体に非常にやりがいを感じますね。また、身についたチカラとしてはまずパワーポイント(PPT)作成能力とプレゼンテーション能力が挙げられます。PPTは自分本位ではなく、見る人に分かりやすく内容を組み立て、プレゼンでは理解が深まるように説明しなければなりません。さらに、この2つの能力に加え研究に取り組む計画性、そしてもちろん自ら動く主体性も身についたと感じています。私の研究テーマも先生と相談しながら自分で決めました。先生の指示によるのではなく、自分の興味を持った研究を自分自身で進められるのがこの研究室の良さです。

山本さん

少し自慢ですが昨年の学部生時代、研究室開設2年目ながら、学科における卒業研究発表で私たちの卒業論文がそれぞれ最優秀賞(松尾)・敢闘賞(山本)を受賞しました。これは2人とも研究の励みになりました。

前田研究室2

▲研究室には水スターリングエンジンの研究に取り組む学生も。空気の圧力変化によって水を押し出しポンプに応用する研究。

前田研究室3

▲屋外の栽培場では、マイクロバブルを混入させた水を用いて農作物を生育中。その成長の度合いを観察している。

研究をさらに進展させて修了後はエンジニアとして働きたい。

山本さん

今後の目標として、まず自作した新型ノズル内部をカメラなどで可視化し、しっかりと研究成果を収めたいですね。その後、修士論文とともに学会向けの日本語論文・英語論文を作成し、国際学会などでプレゼンテーションすることを考えています。修士課程を修了後は、やはり機械分野のメーカーへ就職したいと思っています。たとえば船舶、あるいは航空機などを設計・開発できる職種に就ければ最高です。

松尾さん

私の今後の研究目標は、マイクロバブルの気泡の崩壊をしっかり解析することです。気泡に超音波を当ててどのようにつぶれていくか、その解析にじっくり取り組みたいと思っています。修士課程修了後は、エンジニアとして働きたいですね。分野にとらわれず自分の能力を発揮できるところへ就職できればと思っています。就職に関して言えば福工大は、就職のサポートにとても力を入れている大学です。いろんな制度も整っていて支援体制は抜群。もちろん学習環境も素晴らしいので、興味のある人はぜひ福工大工学部に入ってもらいたいですね。

山本さん

工学部ではこれからの日本を支えるエンジニアになるための知識の修得や様々な経験ができます。資格取得の支援も充実していますし、入学後は課題が多く大変かもしれませんが、きっと楽しく有意義な生活が送れるはずです。

前田研究室2

▲研究用に購入した部材になんと不具合が発生!この部材をどうするか対応策を、先生を交えた研究室の学生で検討中。

前田研究室3

▲自分のデスクで作業中の山本君と松尾君。山本君は主にレポートの作成等を、松尾君は取得データの整理等を行っている。