FIT工学部 研究室最前線 知能機械工学科 髙津研究室
知能機械工学科
髙津研究室
髙津 靖幸 教授

研究内容
多孔質構造体における熱流動や熱伝達現象の実験と解析。
髙津研究室(髙津 靖幸 教授)は、熱力学を基盤にした「熱工学」が研究分野です。所属する学生たちは、たとえば多孔質構造体を用いた「多孔質内気液二相流におけるボイド率計測」や「多孔質発熱体まわりの自然対流に関する研究」などに加え、人を対象にした「非定常温熱環境下での温冷感に関する研究」などの多様な研究に取り組んでいます。ちなみに、ボイド率計測を行うチームは「ボイド組」、多孔質発熱帯周りの自然対流研究チームは「ヒート組」、温冷感に関する研究チームは「温冷組」と呼んでいます。
なお、これらの研究は、断熱材や燃料電池などの機械分野、温熱治療などの生体分野、ヒートアイランド現象に関わる環境分野などへの応用が期待されます。

研究室の魅力を語る
知能機械工学科4年
N.Tさん
出身:福岡県 常磐学園高等学校
大きなモノの製作に携わりたくて選んだ知能機械工学科。
また、小さなモノや小さい製品でなく、大きなモノの製作に携わりたいと選んだのが、先進的なモノづくりに直結しており、研究も盛んな福工大工学部の知能機械工学科でした。

多孔質の流れ場を模したテストセクションで、気泡の立体形状を可視化する実験装置の改善を図る。

これから研究室に入る予定の3年生へ、「非定常温熱環境下における温冷感の研究」の説明をする髙津先生。
取り組むのは「非定常温熱環境下における温冷感」の研究。
4年生になるまでの間に「4力学」の授業を受けたのですが、目に見える物体にかかる力、その運動、また目に見えなくとも「流れ」としてイメージしやすい流体力学ではなく、目に見えないエネルギーの流れを扱う熱力学に最も興味を惹かれたことから、熱力学系のこの研究室を選びました。

手づくり実験装置の調整を行う永金くんと中国からの留学生の劉徐瑞くん。二人はコンビで実験に当たる。

冷温装置の中に入れた手の温度状態をサーモカメラで撮影し、モニターで確認する。グラフは電圧・湿度・冷媒温度などを表したもの。
完成に向かっての手応えを感じる嬉しさややりがいがある。
ここで身に付いたチカラは、多くの人としっかり話をする「会話力」です。また毎週一回、パワーポイントで研究成果を発表する時間が設けられていることから、見やすい資料の作り方、必要情報・不必要情報の判断、プレゼンテーション能力、物事を説明する能力も身についたと思っています。

ヒート組といわれる、「多孔質発熱体まわりの自然対流に関する研究」チームの学生。実験に用いる銅板ヒーターを作成中。

ヒート組の研究概要や昨年の研究成果などを、手づくりの金属実験材(平行平板群)を前に3年生へ説明する。
ここで“自分が興味のあることや楽しいこと”を見つけてほしい。
高校生の皆さんへメッセージを送るとすれば、それは“自分が興味のあることや楽しいこと”を見つけてほしいということです。これからの人生は、「企業で働く時間」が大部分を占めます。自分の興味のあることを見つけられたら早いうちから将来の指針を定めることができ、有利に就職活動を進めることもできます。ぜひ、学生のうちに自分の興味のあることを探しておいてください。福工大知能機械工学科は先生方のレベルが高く、世界で活躍されている先生もいらっしゃいます。もしも、今やりたいことが見つかっていない人がいれば、ここでいろいろなことを経験し、自分の興味のあるものを探して将来に活かしてください。

テストセクション内に設置してある、気泡の特性を理解するための実験装置。気泡を動画で撮影し形状を調べる。

1秒2,000コマが撮影できる機器を用い、撮影した気泡の動画画像。その状態をモニター確認する。

スパッタ装置に切削工具を取り付け、回転させながら発生させたプラズマを衝突させて削っていく。工具刃先を原子サイズ(1 ⁄ 1,000,000㎜以下)に成形する。

ヒート組の一人が、温度センサ(熱電対)を製作。鉛筆を用いた電気溶接機の簡易版で、2つの先端を溶かして接合する。