卒業生の今 電気・機械の両分野の知識を兼ね備えたエンジニアを目指しています。
電気工学科
鬼塚 晴大
出身高校/九州産業大学付属九州産業高等学校(福岡県)
工学部電気工学科/2023年卒業
大学院工学研究科電気工学専攻/2025年修了
勤務先/芝浦機械株式会社(R&Dセンター研究開発部第二開発課)
金属積層造形装置のレーザー使用に伴う基材熱変形の抑制を研究。
私が勤務する芝浦機械株式会社は、「社会基盤を支える製品の製造機械」を提供しているメーカーです。射出成形機から工作機械、産業用ロボット、電子制御装置に至るまでの多彩なマシン開発、製造、販売を手がけており、様々な製品で世界のモノづくりを支えています。私は現在、当社のR&Dセンター研究開発部に所属し、金属積層造形(金属3Dプリンター)に関する研究に取り組んでいます。金属積層造形とは金型を必要とせず、複雑な形状の金属部品を短納期で製造と補修ができる特長があります。軽量化やカスタムメイド、部品の統合などが可能なため、航空宇宙、医療、自動車産業など幅広い分野で着目され、評価されている技術です。
当社の金属積層造形装置は、金属粉末にレーザーを照射し、溶融・凝固させて金属部品の製造を行う方法で、既存の部品へ部分的な造形や異なる材料で造形するなど次世代の設計や製造が可能になります。しかし造形のプロセスで、レーザーで金属を溶融するのに伴って多大な熱が発生するため、製品品質に影響を及ぼすといった課題もあります。たとえば、金属製の板である基材上へ金属の造形を行う際、熱によって基材自体が変形してしまいます。そこで今、熱変形が生じる原因を実験によって解明し、変形を抑制する方法を検討しています。
機械分野でも電気の知識を有する人材への需要が高いことを認識。
入社を志望した動機は、機械工学に興味を持ったことが挙げられます。大学の研究室で振動制御の研究を進めながら、一部分とはいえ機械工学の奥深さと面白さを感じていました。また、在学中に参加した企業講話に触発されたことも理由の一つです。企業の方がwebで自社の業務内容や方針を説明するなか、多分野で電気分野の知識を有する人材への需要が高いことを知りました。その結果、就職活動では電気分野以外の会社も考慮するようになりました。数ある企業の中で芝浦機械を志望した理由は、当社で働いている若手社員の方々の自立心や向上心の高さ、そして社員の技術力アップに対する柔軟な体制が整っていると感じたからです。電気とは異なる分野への不安よりも、未知の分野への挑戦という高揚感を持って入社したことが思い起こされます。
将来の夢や目標を見つけるためには、「興味があること」と「苦手なこと」の両方に向き合うことが大切だと思います。私の場合、モノづくりが楽しいと感じていましたが、アルバイトで瞬間的なマルチタスクが苦手だということを自覚しました。まずは自分が楽しいと思えること、できることやできないことを知ることが大切だと思います。大学院進学に際しても、研究の面白さを知った後に急遽進学を決めたために苦労したことがあったので、「何に興味があるのか」の早期理解が進路選択、就職活動の準備等の良い方向に結びつくと思います。研究室選択に関しては、福工大にはFIT-TECHという学部2年次以降から研究室体験ができる制度があるので、興味のある分野を見つけるために利用してはいかがでしょうか。
熱の影響の解決と解析技術の確立を実現し技術者として自立したい。
やりがいを感じるのは、実験結果から新たな知見を得たときです。想定していない結果が出た際、その原因について上司や先輩に教示を仰ぎ、調査・分析した上で、次の実験計画を立てます。このPDCAサイクルを実践している最中に、自身のスキルが向上したと実感できたときには、大きなやりがいを感じます。今後、実験・研究を継続して熱変形に関する幅広い知識を吸収し、複雑な現象を解明できた際には、達成感も得られると考えています。
幅広い学習の習慣と基礎知識を習得する方法が、業務に役立っています。修士課程では、学部時代に学んでいなかった内容を研究していましたが、この経験を通じて、学んだ内容を「使える知識」へと昇華させるために必要な時間や思考方法を体得できました。また、熱に関する研究では、機械工学の考え方や基礎的な数学や物理の知識が手助けになっています。さらに付け加えると、研究には統計学が不可欠です。統計学に関してはもっと勉強しておけば良かったと思っています。福工大で学ぶみなさんにも、余裕があれば学んでおくことをお勧めしたいです。
今後の目標は、熱の影響という現在の研究課題を解決し、解析技術を確立することです。1DCAEという複雑な理論式を簡略化したシミュレーション方法を習得し、実際の実験結果と同様の結果が得られるシミュレーションを実現するため、現在は先輩の指導を仰ぎながら熱伝導や材料科学などの基礎学習に励んでいます。早期に技術者として自立することを目指しながら、将来的には、福工大で研究として取り組んだ制御の分野まで仕事の幅を広げられればと思っています。