卒業生の今 高速・高品質の通信を提供するネットワークのスペシャリストへ。
電子情報工学科
大神 達哉
出身高校/福岡県立筑前高等学校
工学部電子情報工学科/2022年卒業
大学院工学研究科電子情報工学専攻/2024年修了
勤務先/株式会社ドコモCS九州(ネットワーク建設事業部 ネットワーク建設推進部 置局 九州置局・基盤設計担当)
携帯電話での通信に必要な基地局の建設に関わる置局業務を担当。
私が働いているドコモCS九州は、携帯電話で多くの方がご存知のNTTドコモグループの一員であり、九州をベースに地域に密着した体制でNTTドコモの多様な業務を包括的に担っています。なかでも私が携わるネットワーク(以下NW)分野の業務は、大きく「つくる・みがく・まもる」で分けられており、私は九州のエリアを「つくる」に関する業務を担っています。具体的には、携帯電話の通信に必要な基地局の候補地や設置位置の選定、使用するアンテナ、電波を発射する方向や角度などを決定する「置局(ちきょく)」設計担当で、ドコモの携帯電話をご利用のお客様へ、常に”つなぎきる”通信を提供すべく日々の業務に取り組んでいます。
仕事自体は社内業務が基本で、通信品質の向上を図るための地区を選定し、その際の基地局の設置場所となる土地の広さ、あるいは建物の構造などを協力会社様と共に確認して、基地局の新設や既存の基地局の建て替え・増設などを実施しています。新しい基地局の場合は、計画から概ね18ヶ月で完成するスケジュールとなっており、建て替え・増設を含めると今までに約60工程を担当しました。現在(2025年11月)、主に鹿児島県・長崎県などで置局設計を進めているところです。
ワクワクする世の中を創りたいという想いが入社の動機に。
ドコモへの入社を志望したのは、NW関連企業の中で最も社会への貢献度が大きいと感じたからです。大学院での研究もNW(無線LAN)をテーマにしていたこともあり、就職活動は、「NWによってワクワクする世の中を創りたい」という想いを持って取り組んでいました。その点、当社は顧客基盤が強固で社会への貢献度が大きく、さらに就職活動時に持っていた想い、目標や夢を実現できると思える企業でした。企業紹介の動画で見たドローンによる運搬や無人バスなどの映像に、強く興味を惹かれたことが思い出されます。加えて入社後には、自分自身がさらに成長できると実感したことも志望理由の一つです。
NWに興味を持ったのは、学部3年次に田村先生(研究室の担当教授)の授業を受講していたことが影響しています。新型コロナによる活動自粛時、オンラインでのゲーム中に、不具合が多かった自宅のNWを改善したことがきっかけです。授業で習得したWi-Fiの設定方法の変更方法やコマンド等を利用しながらNWのパフォーマンスを向上させましたが、このときから卒業研究はNW(無線LAN)の研究に取り組みたいと思うようになりました。私の経験から、目標を見つけ、夢を叶えるためには、物事に対する知的好奇心と常に「なぜ?」という考えを持ち続けることが重要だと思います。私の場合は、「自宅のNWがもっと快適になれば」との想いから始まり、「なぜNWが悪いのか」「設定はどうなっているか」という領域へ関心が広がりました。これが大学院での研究につながり、現在の仕事に結びつきました。
「苦労して壁を乗り越える経験」を積み重ねて業務に活かす。
業務で活きるのは、学部生・大学院生時代の「苦労して壁を乗り越える経験」です。特に、大学院生時代の研究論文執筆の経験が大きかったように思います。修士1年の10月に学会初参加となる、「ネットワークシステム研究会」への出席を予定していたのですが、学部生時代の卒業研究のデータを使用するため提出論文の執筆には時間を要しないと思っていたものの、論理の展開や組み立て、文章力など多くの課題があることを痛感しました。そこで他の多くの論文を読み、結果の見せ方や流れについて思考を重ね、先生と議論しアドバイスをいただくことで、苦労しながらも提出論文を完成することができました。その後も国内外の学会へ複数回参加しましたが、取り組みやすさが格段に違いました。現在も、業務のさらなる効率化を進め、さらに他業務を実施するチャンスを数多く掴む行動ができるように、苦労を伴う経験を積んでいるところです。
最終的に仕事の達成感を覚える瞬間は、自分が設計した基地局が完成し、お客様の通信体感が良くなったことを確認できたときだと思います。数はまだまだ少ないですが、外出した際に完成した基地局を見に行き、通信速度を測っています。現地に行くことで本当にお客様へ高品質なNWを届けることができているか・改善点はないか確認することができるため気を引き締める意味でも良い機会だと思っています。
資格取得は目標の一つでしたが、ドコモの5G装置を触るために必要な「第一級陸上無線技術士(一陸技)」を、2024年度に取得しました。福工大では一陸技取得に向け、講座・授業、支援もあると思うので、NW関連分野への就職を目指したい方は、在学時に取得しておくことをお勧めします。福工大の同期生からは、就職活動でこの資格がアピールポイントになったと話を聞きました。自身のキャリアとしては、将来的に東京本社へ異動した際、基地局設置の方針策定の業務に携わりたいと考えています。したがって、その際に現場経験を活かすことができるようさらに多くの現場での経験を積んでいきたいと思っています。