卒業生の今 薄膜配線技術による製品開発を完了させ、将来、さらに技術の幅を広げていきたい。

電子情報工学科

権藤 偉央利

出身高校/福岡県立小倉工業高等学校
工学部電子情報工学科/2020年卒業
大学院工学研究科電子情報工学専攻/2022年修了
勤務先/京セラ株式会社 鹿児島国分工場
(半導体部品セラミック材料事業本部所属)

薄膜配線技術を主とした製品開発と技術構築がテーマ。

京セラ(株)は「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」を経営理念に、ファインセラミック部品、半導体部品、電子部品から、太陽光発電システム、通信機器などの完成品、およびシステム、ソリューションまで幅広い事業をグローバルに展開している会社です。私は現在、鹿児島県の国分工場に勤務しており、主に「新製品の開発業務」を担当しています。今後、当社が市場に売り出していく製品の開発に加え、製品の作製技術、評価技術の構築、また開発した当社技術を守るための特許出願などが主な業務です。現在の開発テーマは、薄膜配線技術を主とした製品開発と技術構築で、およそ3~5年後の製品化を見据えて開発に取り組んでいます。

業務で注力しているのは、新製品を開発するための評価サンプルの作製です。福工大では近木研究室に所属し、「レーダーによる潮位の測定」を研究していたので、現在の業務は、学部生・大学院生時代の研究とは異なる技術を扱っています。ですが、それだけに日々新しい発見や学ぶことが多く、エンジニアとして成長していることを実感しながら、いきいきと働いています。また、入社後最初に配属された部署では、電磁界シミュレーションを用いた、高周波対応アンテナパッケージの設計開発が主な業務でした。しかし現在は、今までどこにもない製品を作りだす取り組みに関わっていることから、入社当初よりダイレクトにものづくりの醍醐味を感じながら日々の業務にあたっています。

入社のきっかけとなったインターンシップでの様々な経験。

ものづくり分野の企業に入社したいと思うようになったのは、中学生の頃にロボットを作るクラブに入部したことがきっかけです。ものづくりの楽しさや奥深さに触れて、次第に仕事にしたいと考えるようになりました。その後、さらにものづくりが学べる環境(工業高校や福工大への進学、ものづくりができる部活動等への参加)に身を置き、学びを深めていったことでものづくり企業が進路として明確になっていきました。

京セラを志望したのは、主にインターンシップでの経験が影響しています。私がインターンシップに参加した当時は、グループワークを通して京セラの経営思想や企業理念等を学ぶことができるコースと、実際の作業現場で先輩社員と実務を行うコースがありました。私は前者のコースに学部生時代と大学院生時代の両方で参加しましたが、ものづくり企業としての考え方や取り組みなど多くのことを学び、就職先としての存在感が増していきました。また、インターンシップでもお世話になった採用担当の人事部の方に丁寧に対応していただきましたが、その方の人柄に魅かれたことも入社の動機としては大きいですね。さらに当社は多角化経営で、様々な製品を取り扱っています。私の所属する開発部でも開発テーマは多岐にわたり、それぞれのコア技術が異なります。今は材料開発部に所属していますが、関連分野以外の様々な技術や知識を吸収することも可能で、そうした多様な環境で働けることにも大きな魅力を感じました。

エンジニアの土台となる論理的思考力やプレゼン能力を活用。

現在の部署では、福工大で修得した専門知識や技術を直接活かせているわけではありません。しかし、研究を通して学んだ、エンジニアの土台となる論理的思考力やプレゼン能力などは大いに役に立っています。実際、新たな技術分野に挑戦することになっても、学部生・大学院生時代に培った能力をベースに新しい技術を修得していると実感することも少なくありません。福工大で築いたエンジニアとしての土台は、今の私の大きな財産です。

元々ものづくりが好きなこともあって、今の業務ではやりがいを感じることも多く、たとえば作製工程を理解し、思い通りのものが完成した際は大きな達成感が得られます。また、予想していなかった現象が現れることも多々ありますが、何故生じたのか、どのようなメカニズムで生じているのかを考え、仮説を立て、試験を実施し、解明できたときにも大きな満足感を覚えます。このように仕事に専心するなかで、エンジニアとしての技術向上を実感できることが大きなやりがいに結びついています。今後については、現在の開発テーマを完了させて製品化することが短期的な目標です。開発した製品が世のため人のためになるように、日々の開発業務に取り組んでいくつもりです。一方、長期的な目標としては現在の薄膜配線技術に留まらず、当社が有する様々なテクノロジーに触れて私自身の技術の幅を広げていきたいと考えています。

後輩へのメッセージ
福工大は、どの学部学科でも将来に役立つスキルを身につけられます。特に工学部電子情報工学科は、電気・電子・情報処理と幅広い技術分野を学ぶことが可能です。技術が急速に発展し多様化する近年、工学技術を総合的に学んでエンジニアとしての土台を築ける福工大は、エンジニアや研究者を目指す人にはこのうえない環境です。現在やりたいことが決まっていない方でも、将来につながる経験が得られるはずです。