FIT工学部 研究室最前線 知能機械工学科 加藤研究室

研究テーマ

エアタービンスピンドルの低速回転領域における回転数制御

気体や液体などの流体エネルギーを応用した研究を行う研究室。

加藤研究室では、フルードパワーという気体や液体などの流体エネルギーを応用した研究を行っています。研究対象としては、工作機械のステージやスピンドル(回転軸)、低沸点流体が沸騰する際の圧力を利用したアクチュエータ、配管内の検査に用いられる管内走行ロボット、タイの伝統楽器クルイの演奏支援装置などがあります。
こうした様々な研究の中で私は、「エアタービンスピンドルの低速回転領域での回転数制御」についての研究に取り組んでいます。エアタービンスピンドルとは空気圧駆動のスピンドルで、たとえば歯科医師が用いる歯の切削用器具などがそうです。エアタービンスピンドルの回転数制御を行い、工作機械の高機能化を目指しています。

INTERVIEW

研究室の魅力を語る

知能機械工学科4年

K.N.さん

出身:
福岡県立三池高校

※2023年12月取材時

知能機械工学科は進路選択の際に幅広い業種に対応できる学科。

私が福工大へ入学した理由は、受験生が大学選びの際に重視する項目として関心の高い就職率の高さです。学生に対する就職活動のサポートがとても手厚く、この結果、毎年高い就職率に結びついています。
工学部4学科の中から知能機械工学科を選んだのは、進路を考えた際にとても有利だからです。機械分野は社会のあらゆる分野と繋がっているので、幅広い範囲を勉強することになります。卒業後の進路を考えたときにどのような業種でも対応しやすく、就職先の選択肢が広がることが、私にとって学科を決める際の大きな要因になりました。

研究対象である、「エアタービンスピンドル」に空気圧ホースを接続する。コンプレッサからエアを送り、その圧力によってスピンドルを回転させる。
エアタービンスピンドルの回転数制御の実験後、取得したデータの解析を行う。奥のモニターに表示されているのは、制御用プログラム(MATLAB)。

大学院生の手厚い指導のもとで研究を進められることが魅力。

加藤研究室を選んだのは、工作機械に興味があったからです。工作機械で作られる部品が機械のすべての始まりとも言えるので、多分野での活躍が見込めると考えました。また、加藤研究室は大学院生も多く在籍していて、各研究テーマに指導院生がついていて学部生が手厚い指導を受けられることも魅力でした。大学院生の研究の進め方や就活観など、学生目線での有力な情報を得られることは大きなメリットです。

指導にあたる加藤先生は、気さくな人柄で相談がしやすいという印象を持っています。研究についてのアドバイスも的確で、学生に考える時間を与えてくださいます。研究室の雰囲気は、学生同士の仲が良いためか和気あいあい。とはいうものの、ONとOFFのメリハリをつけて意欲的に研究に取り組んでいます。分野の違う研究テーマが多いことから、自分の専門分野以外の知識も身につけられることも私にとっては利点です。海外研修も実施されていて、私も2023年9月にマレーシア・マラ工科大学での海外研修に参加したことで、グローバルな視点で物事を見る意識、海外に関する興味がより深まりました。
空気圧人工筋肉ロボットアームを、別室から遠隔操作する。マレーシアでの研修の際には、インターネット回線を通じてマレーシアから研究室内のアームを動かした。
長さ1メートルを超える、空気圧人工筋肉ロボットアームの整備に取り組む。関節2カ所に加え、腕の先にはグリッパーがありモノを掴むことができる。

身に付いたのは実験結果や考えをまとめ、相手に伝える能力。

やりがいは、「できないといわれていることに挑戦している」という研究そのものにあります。現在、研究しているスピンドルの低速回転での使用は加工において需要があるものの、エアタービンスピンドルの低速回転の制御はとても困難とされています。しかし、「できないといわれていること」が、自分たちの研究によって可能になるかもしれないと考えると、研究のモチベーションもアップします。
ここで身についたチカラは実験結果や考えをまとめ、相手に分かりやすいように伝える能力です。加藤研究室では3年次から知能機械創成実験という授業で、自分たちでテーマを決めて実験・発表を行います。そこで先生や先輩と合意形成を図りながら進めていくために、意思を分かりやすく伝える必要があります。3年次からそうした意識で物事を進めていく能力が身についたことで、スムーズに4年次の卒業研究に取り組めているのだと感じています。プレゼンテーション能力だけではなく、物事をうまく進めていくための信頼関係、普段からのコミュニケーションも特に意識するようになりました。

EMATから超音波を出して損傷箇所を検出する、管内走行ロボットの非破壊検査実験のセッティングを行う。パイプ内の走行具合を観察中。
タイの伝統楽器クルイ(笛)の演奏補助装置における音の解析実験。クルイを直接自分で吹いた後、クルイから出た音の音階と呼気流量の解析を行う。

大学院へ進学し、専門的な知識や論理的な思考力を修得したい。

卒業後は、大学院に進学する予定です。研究自体が楽しいし、大学院では学部では培うことの難しい研究能力を高めることができます。大学院進学後は、いま取り組んでいるエアタービンスピンドルの研究を継続したいと考えています。より専門的な知識を身につけ、論理的な考え方ができるようになりたいと意気込んでいます。またその先は、自動車部品のエーカーや工作機械メーカーなどへの就職をイメージしています。
福工大工学部は、資格取得のための支援講座も充実しており、毎年の優れた就職実績は大きな魅力です。私は、将来やりたいことや就きたい仕事が決まっていない状態で入学しましたが、1・2年次にしっかりと基礎学力を修得することができたので、得意な専門科目や、将来やりたいことを見つけることができました。福工大工学部には大学入学後からでも自分の好きなこと、やりたいことを見つけ、伸ばすことができる環境が整っています。

液体を利用した、ロボットアームの応答性能の実験に取り組む。沸騰、膨張しやすい液体を用いて空気圧ゴム人工筋を駆動する。
3Dソフトで設計したエアタービンスピンドル加工装置のモデルを製作し、パソコン上で流体解析のシミュレーションを行う。

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