卒業生の今 技術職として「伸銅品」の品質改善に取り組み“日本のものづくり”を支えています。

生命環境化学科

松島 蓮

出身高校/福岡県立糸島高等学校
工学部生命環境化学科/2020年卒業
大学院工学研究科生命環境化学専攻/2022年修了
勤務先(出向先)/三井住友金属鉱山伸銅株式会社(技術本部 技術部)
所属先/三井金属鉱業株式会社

伸銅事業の歴史約100年を誇る企業で挑む伸銅品の安定供給。

私が入社した三井金属鉱業株式会社は、金属地金の供給に加え、機能材料・電子材料・自動車部品など、多様な事業を展開する非鉄金属メーカーです。入社後は、三井住友金属鉱山伸銅株式会社へ出向し、主事業である「伸銅品」の研究に携わる技術部で働いています。

伸銅品とは、銅及び銅に亜鉛を加えた黄銅(真鍮)などを、板、条、管、棒、線などの形状に加工した製品の総称。基幹素材として自動車・精密電子機器・日用品、建材など幅広い分野で用いられており、当社では、条(コイルに巻かれた形状の製品)をメインに製造しています。なお入社後に新入社員は、1年目が実習期間という位置付けのもと「ブラザー・シスター制度」によって、先輩指導員の下で業務にあたります。私は、実習先が三井住友金属鉱山伸銅だったことから、そのまま当社に本配属された形になっています。

現在の主な業務内容は、製品の品質改善です。所属する技術部だけでは難しい課題も多いため、他部門と協力しながら様々な課題解決に向けて取り組んでいます。今後は、より安定した製品を供給するために、当社だけでは解決できないような課題についても、材料分野の専門的知見を有する大学との「産学連携」を強化して課題解決に取り組む予定です。そのほかの業務内容として、お客様から要求された「引っ張り強度」などの技術データの取得や資料作成なども担当しています。

研究開発やモノを創る現場で働きたいとの思いから目指した技術職。

私が三井金属鉱業を志望したのは、金属地金の供給以外にも機能材料・電子材料・自動車部品等々、多くの事業を展開する非鉄金属メーカーだったからです。就活当時に、研究室の先輩が就職している三井金属鉱業の事業内容を知り、この会社ならいろいろな分野の仕事に携わることができると思い入社を志望しました。

大学の研究室では、パワーモジュール用の放熱基板に用いられるセラミックス材料の研究に取り組んでいました。現在の勤務先で取り扱う金属材料については、当時の研究とは異なる分野の知識が必要となりますが、私自身の就活の軸が「様々な分野に携わることができる」だったので、伸銅業界で仕事している状況はほぼ望んでいた結果になっていると思っています。

技術職を目指したのは学部生3年の頃、実験を行ったり講義を受けたりするなかで、研究開発やモノを創る現場で働きたいと思うようになったことがきっかけです。昔から体を動かすことが好きだったので、自ら手を動かして実験をしたいと思っていたことがその背景にあります。大学院へ進学したのも、技術職として働くため。また、より多くの専門知識を身につけて、より確実に就職を実現したいと考えたからです。大学院進学後もその目標に変わりはなかったため、技術職として採用していただいたことに満足しています。

「大気関係 公害防止管理者」を取得し環境の安全性向上に貢献を。

大学では、金属材料に特化した勉強や研究をしてきたわけではないので、金属材料については現在、猛勉強中です。ただ、新たな知識が身につくこともあって、毎日やりがいを感じながら楽しく仕事をしています。学んでいた分野も異なるので、直接的に活かせていると実感できる技術・知識は多くありませんが、分析装置に関しては分析の原理や操作法など、福工大で身につけた技術・知識を活かして仕事に取り組んでいます。在学中は、材料の共通特性やメカニズムなども学びましたが、その知識をもとに実験プロセスや分析プロセスを組んでおり、仕事でも大いに役立っています。

また仕事の一つとして、お客様から技術データなどを求められた際には、評価試験を実施してデータを収集しています。オーダーには試験片の加工や試験条件難易度の高いものがあるため、そのような試験において良好なデータが取得できた時は達成感を覚えます。

これからの目標としては、「大気関係 公害防止管理者」の資格取得を目指しています。学部生時代に「水質関係 公害防止管理者」の資格を取得しているので、併せて大気関係も取得しておきたかったからです。将来的に工場を管理する立場になることを考慮すると、必須の資格と言えるかもしれません。この資格取得で得た知識を、工場や周辺地域の環境をより安全にしていくきっかけづくりにできればと思っています。

後輩へのメッセージ

福工大工学部では、高校よりも物理や化学、数学などを専門的に学びます。高校時代に比べると内容も難しく、レベルの高い実験やレポート等も増えて忙しくなるはず。ですが、基礎をしっかり身につけておけば問題ありません。大学は専門分野を学びながら、未知のことを経験し、多様な知見を得られる魅力的な場所です。福工大で有意義な大学生活を送り、ぜひ目標や夢を見つけてください。